カテゴリ: トヨタ輸送

トヨタ輸送が保有するキャリアカーの紹介は今回で7回目となりました。今回はランクルなど大型車用のキャリアカーをご紹介します。
 
本車両はランドクルーザーなどの大型SUVやピックアップトラック、コースターの輸送用として開発されました。このような大型車の場合、通常のキャリアカーでは全高やフロアの制限によって工夫を重ねても4台程度までしか積み込めず無駄が多いため、積載効率向上と構造の簡素化を目的に1980年代に原型の車両が開発されました。
 
フロアは油圧シリンダーで昇降可能になっており、コースター積載時には水平にして2台積み。それ以外では上段を持ち上げて二段積みで運用します。二段積みでは上段に2台、下段中央に1台、リアオーバーハングに1台の計4台を積載可能です。フレームが少ないことから積む込み時の圧迫感がなく、損傷事故も皆無だそうです。製造は浜名ワークス、最大積載量は10500kgを確保していますが、ランクル200では総重量が最大2700kgなので、4台積むとギリギリになります。

このタイプは、ランクルやコースターを生産するトヨタ車体吉原工場に隣接する吉原営業所に集中配備されています。通常の乗用車の輸送には効率が悪いので、もっぱら大型車の輸送に充当されています。
 
 
吉原工場から名古屋港に向けて走行する大型車用キャリアカー
上段にランクル200×2、下段にはレクサスLX、リアオーバーハングにはランクル70を積んだフル積載状態です。
イメージ 1
 
上段のランクル200は、今年の1月8日にマイナーチェンジを受けてヘッドライトがディスチャージランプになった新型。下段の車両は海外専用のレクサスLX570、ランクルシグナスに相当する上級モデルです。昨年、レクサスの新デザインであるスピンドルグリルに変更されました。
イメージ 6
 
リアオーバーハングは、今もオーストラリアや中東向けに販売されているランクル70のピックアップ。販売国は限られますが、月間販売台数は200系に匹敵しています。その上のランクル200には日本仕向けには無い「GX-R V6」のグレード名が書かれていますが、これは4L・V6の1GR-FEエンジンを積んだ中東仕向けのグレードです。
イメージ 7
 
フロアをほぼ水平にした状態。後輪は重量を支えるためダブルタイヤになっています。
イメージ 2
 
リアオーバーハングが長い新しいタイプ。荷台を後ろに傾斜させた積み込み形態。
高架橋の後ろが「ランクルの故郷」トヨタ車体吉原工場です。
イメージ 3
 
再びリアオーバーハングの短い旧タイプ。
イメージ 4
 
後ろから見た荷台の様子・・・。
手前中央は積載用のアルミブリッジ、その外側には車両固縛用のワイヤーと
フックが装備されています。イメージ 5
 
2011年~2013年にかけて撮影
 
 
関連記事→「トヨタ輸送中部 キャリアカー~その1~」

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8

自動車輸送を支えるキャリアカーはその大半が一般的なセミトレーラータイプのものですが、国内にはフルトレーラータイプのものも存在しています。

フルトレーラーにはトラクタとトレーラーそれぞれに可動部分を持つドーリー式と、トレーラーの車軸が車体中央に配置されたセンターアクスル式が存在しており、最近では荷台長をドーリー式より長く取れることからセンターアクスル式の採用例が増えています。トヨタ輸送ではフルトレーラー式キャリアカーを1993年に導入して以来、一貫してセンターアクスル式を採用しています。

当時ではまだ珍しいセンターアクスル式を採用した理由ですが、まず前述のように荷台長を確保しやすいこと、荷台を傾けられること、そして積み込みが容易なことです。トレーラー部分に4台を載せる場合、普通に載せてしまうと長さがオーバーする為、車体を傾けることで長さを抑えます。センター式では車軸が中央にあり、荷台が前後それぞれに傾斜する構造なので具合がいい訳です。さらに前後部分が低くなるということは積み込みにも良い影響を与えています。

ではなぜフルトレーラー式の採用に踏み切ったのか。当時の標準的な積載台数はセミトレ式で6台、亀の子式では7台ですが、フルトレ式になったことで8台の積載を実現しました。たかが1台や2台の差ですが、セミトレ式ではトラクタの駆動輪の上に位置するフロアでは高さの制約が、両側にトレーラーの車輪がある6番フロアでは全幅の制約がかかります。また最大積載量が8000kg程度なので1台当たりにすると1350kg程度しかありません。さらに亀の子式ではトラクタ側のホイールベースを延長して積載装備を架装した為、トレーラーの荷台長の短縮と、第5輪荷重の減少=トレーラーの積載量の減少を招きました。このようにセミトレ式では数には表れない制約が多く、乗用車の大型化が進み中でいかに積載の効率化を達成するかがフルトレ式開発の目標となっていました。

これらの課題を達成すべく1993年に初導入されたトヨタ輸送のフルトレ式キャリアカーでは、上段フロアをキャブの上まで延長することで4台を確保、下段では車体を傾けて積載することで国内初の8台積みを達成しました。現在導入されている車両では乗用車の大型化に伴い7台積みとなっています。
このタイプでは積載量がトレーラー部だけでも9900kgあるので2500kg程度の重量車でも積載が可能。フロアの地上高が平均化され、車幅に関しても制約がないので全長4770mm、全幅1885mm、全高1690mm、重量2130kgあるレクサスRXクラスの大型車が7台フル積載可能という、従来のセミトレ式では考えられなかった非常に高い積載能力を実現しています。

フルトレ式キャリアカーでは大きさなどの制約が大きいことから、販売店のバラまき輸送などには用いられず、主に生産工場と名古屋港間の新車輸送に投入されています。製造元の浜名ワークスでの型式は「HFT201RA」、価格は約3000万円、トレーラー側を整備時に切り離すことは可能ですが、トラクタ単体での輸送はやらない(やれない)そうです。車両の構造や詳しい内容は別途記事にする予定です。

今回積載されている車両は1番フロア:レクサスIS、2番:カローラアクシオ、3番:カムリ
4番:新型カローラフィールダー、5番:クラウン、6番:アクア、7番:プリウスPHVです。

2012年8月 トヨタ博物館 企画展連動イベントにて

関連記事「トヨタ輸送 キャリアカー~その5~」
http://blogs.yahoo.co.jp/trans5885/3319508.html

イメージ 1

イメージ 2

これはトヨタ輸送が保有する試作車の輸送車です。

トヨタ自動車の試作車両や開発車両など、発表前の秘匿車両を輸送する為に開発されました。車体は上面を含む4面全てが覆われ、秘匿車両が露見しない構造になっています。後部にはリアドアを兼ねた積載用の大型歩み板を装備し、側面の幌およびその下のアオリ戸は、車両の固縛など作業性の観点から自動での開閉が可能です。内部は通常のキャリアカーとほぼ同じ2段構造になっており、背の低い車両では4台の積載が、背高車両の場合は2台の積載が可能。また車両積載作業時には屋根が邪魔になるので、屋根全体を1000mm近く持ち上げることが可能とばっています。

シャシーはプロフィアの6×4(低床)のFQと呼ばれる型式で、後2軸が小径タイヤである生産数が少ないモデルです。架装は尾張車体工業で、積載量は6800kgと少なめ。キャブはショートキャブで荷室スペース確保の為、後部の一部が削り取られたような形状になっているのが特徴です。

この試作車輸送車両はかつてはレンジャー増トン車が導入されていましたが、最近ではもっぱらプロフィアが選択されています。車両は主に元町営業所と富士松営業所に配置され、トヨタ本社技術部と東富士研究所や各工場間での試作車の輸送任務に投入されています。

三河100か7925 車番0603 
2011年11月 トヨタ輸送富士松営業所にて


関連記事→「トヨタ輸送 試作車輸送車」
http://blogs.yahoo.co.jp/trans5885/1628989.html

関連記事→「トヨキン 試作車輸送車」
http://blogs.yahoo.co.jp/trans5885/1174196.html

関連記事→「夏目運輸 試作車輸送車」
http://blogs.yahoo.co.jp/trans5885/1421537.html

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

トヨタ輸送中部が保有する3台積みキャリアカー。
以前、日本梱包運輸倉庫のキャリアカーで紹介した車両の同型車です。

一般的にキャリアカーの荷室は二段構造になっており、
6台程度の積載が可能ですが、乗用車の大型化に伴い
全高や重量の関係で、能力一杯に積載出来ない事例が散見されます。
そこで積載を3台に留め、一段構造でコストダウンを狙ったものがこの車両。

トレーラー部分には2台の積載が可能で、最大積載量は5500kg。
側面のフレームには荷台にアクセスし易いようステップが見られ、
リアタイヤは小径ダブルタイヤです。製造は浜名ワークスです。
トラクタとの連結部分は荷室から一段下に位置しており、
低床トレーラーのような構造になっています。

トラクタ部分には1番フロアが固定されており、
荷台長は4500mmほど確保されているようなので、
ハイエースやエスティマクラスの大型車も積載可能。
トラクタに直接荷物を積む数少ない事例となっており、
車検証には第5輪荷重と共に最大積載量が記載されており、
亀の子式と呼ばれるタイプのキャリアカーでは、単車のみでの
積載走行は禁止されていますが、この車両はどうなのか。

2012年2月 名古屋市潮見町にて


関連記事「日本梱包運輸倉庫 キャリアカー」
http://blogs.yahoo.co.jp/trans5885/3043153.html

先日、このブログでもお世話になっている方の記事で、
キャリアカーの右左折時のセリ出しについての記述がありまして、
実際のところどれくらいセリ出すのだろうと思い、写真を撮ってきました。
 
ここは名古屋市港区潮見町の交差点。ここにはトヨタ・日産・三菱の
モータープールがあり、キャリアカーの往来が多い場所です。
伊勢湾岸道名港潮見ICを降り、トヨタのモータープールに行く際には、
道路の構造上、ここでUターンして折り返して行く必要があります。
 
イメージ 1
 
イメージ 2
やってきたのは、いなべ工場で生産されたハイエースと
ヴェルファイアをフル積載した日本梱包運輸倉庫のキャリアカー。
大型車積載時は車高と重量の関係で、キャリアカーの能力を
生かし切れない好例のような荷姿です。
2番と5番にヴェルファイアを積載していますが、全高が1915mmある為
全高は4.1mギリギリといったところでしょうか。またいずれの車も
車重が2000kgを超えるので、重量の面でも限界ギリギリだと推測されます。
 
さて、トレーラーでは荷台の最前部の角を肩と呼んでいます。
この肩が右左折時にセリ出してきますが、カプラーから肩の距離が長いほど、
旋回半径が短いほど飛び出す量は大きくなり、Uターンのような急旋回時では
最大1m近くセリ出すようです。
例えば、トレーラーの左折時には対向車に注意しながら曲がる訳ですが、
トラクタが回避しても次に肩がある為、そこを当てないようミラーで確認しながら
慎重に曲がっていく姿が見られます。

イメージ 3
 
 
写真のように1番フロアにハイエースを積んでいる場合には、
張り出しは2m弱にもなる為、油断すると簡単に電柱にヒットさせてしまうとか。
 
現役20年というベテランドライバーに話を伺ったところ、
電柱は注意できるからまだ可愛い方で、狭い交差点では
歩行者用信号機や駐禁の看板、中央分離帯のような
あまり目に入りにくいものの方がよっぽど怖いようです。
 
トヨタ輸送の一部ではこの交差点を「潮見ターン」と呼んでいるそうで、
ここでドライバーの腕が測れると仰っていました。
確かにここをホームとしているトヨタ輸送の車は
豪快に曲がっていく方が多く、ベテランぞろいのようでした。
 
2012年2月 名古屋市潮見町にて
 

↑このページのトップヘ